世界あちこち見聞録 国内事情編・食の多様化
2023.04.06
今年は桜の開花が2週間早いと言われています。
肌寒い日もありますが桜の花が一気に満開になり、緑の葉を見せる木々も多い今日この頃です。
株式会社エマール 広報担当MADAM Hです。 皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか?
マスクの着用や入国の緩和により、外国人の旅行者も戻ってきています。
日本に訪れる外国人への対応をめぐり、食の多様化やグローバル化が進みつつありますね。
インバウンドの増加に伴い、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラール、コーシャなどの食の規律に対応する現状を見てみましょう。
訪日外国人は3000万人を突破。その中でベジタリアンは約150万人と想定されています。 その様な方々に副うものとして、ベジタリアン(菜食者)、ビーガン(完全な菜食者)料理の導入の需要が多くなっています。
3大宗教とは。
1 キリスト教 2 仏教 3 イスラム教です。
私達の周りにも、多様な宗教の人、色々な理由で食の制限を持つ人が増えています。
最近多く見かけるようになった食に関する事例を取り上げてみたいと思います。
イスラム教徒(ムスリム)は、豚肉、ヒンドゥー教徒は牛肉を食しませんが、ここの点を混同している方が多いようです。
ムスリムは、四つ足を食べないと勘違いをしている人を多く見かけます。
四つ足の物ではなく豚肉及び加工品を食べない事を正しく理解する必要があります。
ヒンドゥー教徒にとって牛は神様の乗り物で神聖な動物です。よって彼らは牛肉を食べません。
インドは人口14億を超えています。
多種多様な宗教や食文化があり、不殺生を旨とするので、肉食を避ける人が多数存在します。
家庭で食事することを好む人が多く、一番多いのはベジタリアンだそうです。
インド人の人に日本でどんな外食をするかと聞いた所、あるカレー店Cのベジタリアンカレーだと答えていました。
ベジタリアンカレーを売っていることを初めて知りました。
ファミリーレストランで、従業員の知識がない為に、間違った事を伝えることが良くあります。
あるイスラム教徒の人と一緒した時、サラダのシーザードレッシングに豚肉が入っているかどうかを聞いていましたが、
従業員は入ってないと答えたのです。
私が見る限りベーコンが入っており、これってベーコンはいっているよね?と聞くと、
答えは “ハイ”なのですが、豚肉が入っているかと聞くと、入ってないと答える事がほとんどなのです。
ベーコンって豚肉でしょ?と指摘すると初めて解るのですが、
ベーコンが豚肉と言う認識がない方がほとんどでした。
ソースに入ってしまっている為取り除くことは出来ませんでした。
宅配ピザでも、シーフードピザだから、豚肉が入ってないと思い込み、
お店に改めて聞くとベーコンが入っていたりするのです。最初からベーコン抜きと注文する必要があります。
同じフライパンやなべを使うことも出来ませんし、ポークカレーから豚肉を取り除けばいいのではと言う方もいますが、これもダメです。
給食が出る小学校に通う子供の為に、ハラールと言うお祈りした鶏肉と専用の鍋を届けるパキスタン人のお父さんもいました。
アレルギー対応はするのにこれは対応しないわけにはいかず、対応する学校も大変ですね。
ご飯とミルクは食べても、おかず持参の子もいました。
インド人男性と結婚し、妊娠した日本人女性の所へ、インドからご主人のお義母さんが出産の手伝いに来ましたが、
お義母さんはヴィーガンで卵も食べないベジタリアンだった為に食べさせる物に苦労した話を聞きました。
蕎麦は大丈夫でも、そばつゆに制限が出てきます。
昆布は植物なので良いのですが、かつおだしはダメなのです。
天ぷらは卵を使ってなければ大丈夫でも、天つゆが問題です。
油も気を付ける必要があります。
エビを揚げた油で精進揚げを揚げても、とんかつを揚げた油で唐揚げを揚げてもダメなのです。
私達の市で、夏休みにホームステイを実施し、マレーシアから子ども達が来た時、
中途半端な知識で、歓迎パーティの準備をした為に、肉なし焼そば、カレー、唐揚げ等が準備されていたのを見て唖然としました。 準備から関われば良かったと思っても後の祭りです。
肉抜きでも、使っているソースには、色々なものが入っており、食べる事が出来ません。
カレーも同様です。 日本のカレー粉は美味しいのですが、色々なものが入っている為使う事が出来ません。 唐揚げは、ハラールと言うお祈りした肉でなければだめでした。
マレーシア人の子供達はムスリムだったのです。
女の子がいる家には男の子は宿泊する事は難しく、違う部屋なら可能ですが、普通の日本の家で沢山の子供部屋はありません。
子供たちの交流を兼ねて、承諾希望したものの宗教的な壁がありました。
サンドイッチでも、ハムはダメ、卵もダメな場合もあります。せいぜい野菜サンドですね。 逆に問題なく喜ばれたものは、回転寿司(魚類)やそうめんや家庭での手作りのジャガイモだけのコロッケでした。
海苔は大丈夫なので、巻くものを注意すれば手巻き寿司等はパーティー向きですね。
焼肉を準備した家庭もありましたがお肉にも、要注意なのです。
インバウンド需要を見越した、外国人向けの食事の為に、ビーガン対応、ハラール対応、コッシュ対応(ユダヤ教の食事)の食事を工夫しているレストランの存在が報道されていました。
一番苦労するのは、蕎麦つゆのようですね。みりんも一癖あります。
植物である昆布だしは、宗教的にはOKですが、美味しくないのです。
醤油も発酵食品であるので、気にする人は食しません。
気にしない人たちもいますが、ベースに宗教があると、無宗教か?とも言われる日本人には、理解しがたい事が多いです。
忘年会で、ヴィーガンのペルー人対応の物をお願いした事がありました。
一口にベジタリアンと言っても、最低9つのベジタリアンがあり、ビーガンとは
完全採食主義者で、卵も魚も乳製品も食べません。
彼女の為に出せたものは、冷ややっこ(醤油なし)、エダマメ、冷やしトマト、おしんこ、フライドポテトでした。
おにぎり(梅は可能、でも動物性であるおかかとしゃけは、ダメ、)やキムチ、キムチ鍋はエビが入っているからダメでした。
キムチを作る為にエビが入った調味料を使うからです。
厳密にいうと、唐揚げを作った油で揚げたポテトフライもダメなのですが、その時はそこまで頭が回りませんでした。
違う文化圏から来る人と食事を共にする機会がある時は、相手の国や宗教を理解し何を食べる事が出来ないかを念頭に置く必要があります。
歓迎のつもりで勝手に準備せず、事前に確認し無駄のないようにしたいものです。